フィリピン人労働者の受入れ拡大へ、改正入管法の協力覚書に署名 (JETROより抜粋)


フィリピン労働雇用省(DOLE)のシルベストル・ベリョ労働雇用相は3月19日、日本の警察庁、法務省、外務省および厚生労働省と東京で会談し、在留資格「特定技能」を有する外国人材に関する制度の適正な実施のための基本的枠組みに関する協力覚書に署名した。「特定技能」は、日本政府が4月に施行する改正後の「出入国管理及び難民認定法」(以下、「改正入管法」)で新たに設置される在留資格で、日本にとってフィリピンは「特定技能」制度に係わる協力覚書の最初の締結国となった。

 

覚書では、特定技能労働者に対して日本人と同等またはそれ以上の賃金が支払われることや、特に悪質な仲介事業者を排除し、特定技能外国人の円滑かつ適正な送り出し・受け入れを行うこと、そして特定技能外国人の日本での就労における問題解決のための情報連携などについて定められた。また、日比両政府間の連絡窓口は、それぞれ出入国在留管理庁在留管理支援部在留管理課およびフィリピン海外雇用庁(POEA)と定められた。制度運用開始から2年後には、本協力覚書に基づく両国間の協力の枠組みも、必要に応じて見直すことが定められている。

 

ベリョ氏は地元紙に対して、「改正入管法の施行によって、新たに10万人以上のフィリピン人労働者が日本で就労する可能性がある」とコメントした。

 

日本国法務省、外務省、厚生労働省及び警察庁と フィリピン共和国労働雇用省との間の在留資格「特定技能」を有する 外国人に係る制度の適正な運用のための基本的連携枠組みに関する 協力覚書(仮訳)

 

 

日本国法務省、外務省、厚生労働省及び警察庁(以下「日本の省庁」と総称する。)並びにフィリピン共和国労働雇用省(以下「フィリピンの省」という。)は、日本国政府が在留資格「特定技能」を付与して一定の専門性・技能を有する人材(以下「特定技能外国人」という。)を受け入れる制度(以下「本制度」という。)の運用において、それぞれの国の法令に基づく特定技能外国人の送出し・受入れに係る両国間の協力を通じて相互の利益を強化することについての見 解を共有する。

 

この見解に基づき、日本の省庁とフィリピンの省(以下「両国の省庁」と総称する。)は、次のとおり協力することを決定した。

 

1.目的

この協力覚書は、特定技能外国人の円滑かつ適正な送出し・受入れの確保(特に、悪質な仲介機関の排除)並びに特定技能外国人の送出し・受入れ及び日本国での在留管理に関する問題の解決のための基本的枠組みを定めることにより、フィリピンから日本国への特定技能外国人の送出し及び受入れの円滑かつ適正な推進を通じて特定技能外国人の双方での保護を促進するとともに、本制度の適正な運用のための協力を通じて両国間の相互の利益を強化することを目的とする。

 

2.連絡窓口

両国の省庁は、この協力覚書に基づく協力を効果的に実施するため、両国の連絡窓口を次のとおりそれぞれ指定する。

(1) 日本国

 出入国在留管理庁在留管理支援部在留管理課が 特定技能外国人に関する全般的な事項についての主な連絡窓口となる。労働に関する事項については、同課が厚生労働省と協議する。

(2) フィリピン

(a) フィリピン海外雇用庁の事前雇用サービス室が 、事務処理及び認定を含め、主な連絡窓口となる。

(b) 在日フィリピン海外労働事務所が、特定技能外国人の文書(雇用契約書を含む。) 並びに職場及び福 祉の調整のための 他の関連する文書の検証に関する連絡窓口となる。

(c) 帰国する特定技能外国人の再統合については、海外労働者福祉 庁 附 属 フ ィ リ ピ ン 海 外 労 働 者 国 民 再 統 合 セ ン タ ー が 連 絡 窓 口 となる。

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3.協力の枠組み

この協力覚書に基づく協力は、それぞれの国において効力を有する法令の範囲内で行われる。一方の国の省庁又は省は、他方の国の省庁又は省の書面による同意なしに、この協力覚書の枠組みにおける協力及び情報共有を通じて取得した他方の国の省庁又は省の秘密の情報を第三者に開示しない。

 

4.協力の範囲

(1)日本の省庁の約束

日本の省庁は、日本の関係法令に従い、フィリピンからの特定技能外国人の受入れに関して次の約束を行う。

(a) 受入機関と特定技能外国人との間で結ばれた雇用契約及び受入機関により作成された在留資格「特定技能1号」を有する外国人に対する支援計画が、出入国に関する法令で規定された基準に適合するかどうかを適正に審査すること(特定技能外国人の雇用契約における、特定技能労働者に対して日本人と同等又はそれ以上の賃金が支払われるとの基準及び在留資格「特定技能1号」を有する外国人に対する支援計画における、受入機関が転職を支援するとの基準を含む。)並びに雇用契約の内容の誠実な遵守を確保すること。

(b) 受入機関との契約に基づき委託を受けて、在留資格「特定技能1号」を有する外国人に対する適切な支援計画の実施に係る全ての業務を遂行する意向を有する機関による登録の申請については、登録に関する業務 を実施すること及び当該機関が出入国に関する法令により規定された登録 拒否の根拠に該当する場合には、登録を拒否すること。また、登録支援機関の名称等の情報を日本国において公表すること。

(c)

(i)特定技能外国人の雇用契約及び在留資格「特定技能1号」を有する外国人に対する支援計画が出入国に関する法令 に規定された基準に適合するものであること 、

(ii)特定技能外国人の雇用契約が適正に履行されること、

(iii) 在留資格「特定技能1号」を有する外国人の職業生活上、日常生活上又は社会生活上の支援を行うための当該外国人に対する支援計画が適正に実施されていること及び

(iv)特定外国人の受入れが出入国及び労働に関する法令に適合することを確保することが必要と認められる場合には、報告を徴収し、並びに受入機関に対して指導及び助言を行うこと。また、上記(i)から(iv)が確保されていないと認められる場合には、出入国に関する法令に基づいて改善命令を出すとともに、当該命令が出されたことを日本国において公表すること。

(d) 登録支援機関が在留資格「特定技能1号」を有する外国人の支援計画に基づき適正に支援業務を行うことに関し、制度の適正な実施を確保するために必要と認められる場合には、 報告を徴収し、並びに登録支援機関に対して指導及び助言を行うこと。また、不正な行為があると認められた場合には、必要に応じて登録を取り消すこと。

(e) 特定技能外国人の賃金、労働時間、安全、健康その他の労働条件を確保するため、及び労務管理を適正に改善するため、日本国内の受入機関又は仲介機関に対して指導及び監督をすること。

(f) 特定技能外国人の適正な受入れを確保するため、出入国、労働又はその他の関係法令に従い、日本国内の悪質な 仲介機関を排除するための必要な措置をとること。

(g) フィリピンの省から、フィリピンの省に認定され、日本へ特定技能外国人を送り出す意向を有 する送出機関(以下「送出機関」という。)に関する情報を受領した場合には、当該情報を日本国において公表すること。

(h) フィリピンの省から(2)(d)に定める認定取消しの情報を受領した場合には、当該情報を日本国において公表すること。

(i) 受入機関に対して改善命令を行った場合 には、フィリピンの省に対して当該命令(改善命令の根拠となる調査結果を含む。)を通知すること及び登録支援機関のリストを フィリピンの省と共有すること。

(j) フィリピンの省から、フィリピンからの特定技能外国人の受入れに関する照会を受けた場合 には、必要な情報を提供すること。

(2)フィリピンの省の約束

フィリピンの省は、フィリピンの関係法令に従い、フィリピンからの特定技能外国人の送出しに関して次の約束を行う。

(a)送出機関が認定基準を満たしているか否かの審査を行い、当該機関が認定基準 を満たしていると認める場合には、認定を与えること。

(b)上記(a)に規定する認定を与えた場合には、フィリピン国内の認定された送出機関の名称その他の情報を公表すること。また、当該送出機関の情報を日本の省庁に提供すること。

(c)認定された送出機関が認定基準に適合しない活動その他の適切でない活動を行ったと思われる旨の通報を日本の省庁から受けた場合には、問題となっている当該送出機関を調査し、当該送出機関に対して必要な指導及び監督を行い、その 調査の結果を日本の省庁に共有すること。

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(d)フィリピン国内の認定された送出機関に対し、フィリピンの特定技能外国人を適切な方法で選定し、及び送り出すために指導を行うこと。また、送出機関が認定基準を満たさなくなったとフィリピンの省が認める場合には、認定を取り消し、その結果を日本の省庁に通報すること。

(e)日本の省庁から、受入機関に対して発した改善命令及び登録支援機関の一覧(更新したものを含む 。)について情報の提供を受けた場合には、当該情報をフィリピンにおいて公表すること。

(f)標準的な雇用契約の作成、認定された送出機関を通じた特定技能外国人の選定及び派遣 を含むこの協力覚書の運用のために必要なガイドラインを作成すること 。

(g)フィリピンの省がフィリピンからの特定技能外国人の送出しに関 す る 照 会 を 日 本 の 省 庁 か ら 受 け た 場 合 に は 、必 要 な 情 報 を 提供すること。

(3)情報共有

 両国の省庁は、特定技能外国人の円滑かつ適正な送出し・受入れを確保するため並びに特定技能外国人の送出し・受入れ及び日本国での在留に関する問題を解決するために必要又は有益な情報を速やかに共有する。この情報には、特定技能外国人に係る求人・求職活動に関与する両国内の仲介機関(個人及び法人の双方を含む。)の行為であって悪質な仲介機関による次の行為に該当するものに関する情報を含む。

(a) 保証金の徴収その他名目のいかんを問わず、特定技能外国人又は特定技能外国人になろうとする者(以下「特定技能外国人

等 」という。)、その親族又はそれらの者の関係者の金銭その他の財産を管理すること。

(b) 契約の不履行について違約金を課す契約その他の不当に金銭その他の財産の移転を予定する契約をすること。

(c) 暴行、脅迫、自由の制限等、特定技能外国人等の人権を侵害すること。

(d) 日本国における出入国管理又は査証 手続に関し、許可、査証その他の証書を不正に取得する目的で、偽造された、変造された又は虚偽の文書若しくは図画を行使し、又は提供すること。

(e) 特定技能外国人等から徴収する手数料その他の費用について、当該特定技能外国人等に算出基準を示さず、かつ、その額及び内訳を理解させないで、当該費用を徴収すること。

(4)合同委員会

両国の省庁は、この協力覚書の1.に定める目的を達成し、本制度の適正な運用のために改善が必要と認められる問題を是正するため、合同委員会を設立し、一方の国の要請に基づき、双方により選択された場所において 、定期又は随時に 協議するものとする。主な協議内容は次のとおりとする。

(a) 本制度に係る両国の政策の実施及び変更に関する事項

(b) 特定技能外国人の仲介機関の適正さの確保に 関する事項(必要な是正措置の在り方を含む。)

(c) 特定技能外国人の送出し・受入れに係る各種審査 、日本国内の不適正な受入機関又は在留資格「特定技能1号」を有する外国人に対する支援(在留資格「特定技能1号」を有する外国人 が在留活動を安定的かつ円滑に行うことができるようにするための職業生活上、日常生活上又は社会生活上の支援をいう。)を行う不適正な機関、フィリピン国内の 不適正な送出機関並びに特定技能外国人の権利の促進及び保護(労働問題に対処するために必要な行政上の措置の採用を含む 。)に対する是正措置に関する事項

(d) 特定技能外国人の技能及び日本語能力の測定試験の適正な実施に関する事項

(e) 特定技能外国人の日本国での在留管理に関する事項

(f) 上記(a)から(e)までに掲げるもののほか、本制度その他これ

に関連する両国の出入国又は労働に係る制度の適正な運用に関

する事項

(5)技能及び日本語能力の測定試験の実施

日本の省庁及び特定技能外国人の受入れを行う分野を所管する省(以下「日本の省庁等」と総称する。)は、特定技能外国人の技能及び日本語能力の測定試験を適正に実施する。フィリ ピンにおいて実施される試験の詳細な予定は、外交ルート を通じてフィリピンの省へ提供される。フィリピンの省及び当該試験に関係する省(以下「フィリピンの省等」と総称する。)は、日本の省庁等から、当該試験の実施及び関連する日本語教育に係る事業その他の日本国の省庁等が関与する当該試験に関連する事業に係る協力を求められたときは、適切な支援を提供する。また、日本の省庁等及びフィリピンの省等は、当該試験に関し、別人による受験、合格を証する文書の偽造又は変造その他の不正な行為に関する情報を得たときは、 この協力覚書の4(3)に定める枠組みに従って、当該情報を速やかに共有する。

(6)労働者の権利の保護

日本国の省庁及びフィリピンの省は 、日本国におけるフィリピンからの特定技能外国人の福祉を促進し、それぞれの国の法令に従って彼らの権利を保護する。

5.枠組みの見直し

特定技能外国人に係る制度の運用開始から2年後に実施される制度の見直しを踏まえ、この協力覚書に基づく両国間の協力の枠組みを必要に応じて見直すこととする。この協力覚書の内容は、両国の書面による同意により、必要に応じて修正又は補足される。

6.開始日

 この協力覚書は2019年4月1日から開始される。日本国東京にて2019年3月19日に署名された。

日本国法務省のために フ ィ リ ピ ン 共 和 国 労 働 雇 用 省 のために

日本国外務省のために

日本国厚生労働省のために

日本国警察庁のために